標記タイトルを実現しようとする研究者に、製薬会社などが研究のための資金援助をする事はありませんので、その研究に着手する方は、ほぼいないと思います。しかし、99%は無理でも、1%の方達が治療の現場や、予防医学の観点から、ムクナ豆の可能性を信じて研究を進めて頂ければ、薬の副作用で苦しんでいる方の症状が少し緩和したり、認知症やパーキンソン病の発症が遅れたり、予防できたりする可能性があると信じています。
医療現場で、パーキンソン病の患者さんに対して、八升豆焙煎粉末とL-ドーパ製剤を使用して、両者の血中におけるL-ドーパと代謝物の動態を検査するとともに、患者さんの摂取後の副作用などを調査した事例があります。
2008年に「八升豆に含有されるL-dopaと血中動態」(愛媛大学:野元正弘他)と2024年に「パーキンソン病に食用豆が有効 日本のクロスオーバー試験でLD/CD配合錠を上回る有効性」(和歌山県立医科大学:阪田麻友美他)の2つの論文を承知しています。
2例に共通する点は以下のとおりです。
①試験対象者が10名にも満たない少人数である事②1回の試験である事③L-do-pa 製剤よりもムクナ粉末の方が効果が早く、持続性が長い事④摂取による副作用が出ない事⑤COMT阻害効果が認められる事。以上ですが、2008年論文では、研究の継続性を、2024年論文では、長期利用の安全性の確認を末尾でうたっています。
私が、これら論文を読んでまず感じた点は、ムクナきな粉の製法及びL-ドーパ含有量そして、摂取量です。薬との対比を試みる場合には、①薬1錠(100㎎)に相当するムクナ粉量を確定しなければなりませんが、その為には、①ムクナ粉体に含まれる正しいL-ドーパ量②安全なムクナ粉体の製造方法③抹消でのL-ドーパ動態のみでなく、ムクナ由来のCOMT阻害効果を含めたの製剤との比較が必要だと思います。
2008年論文では、八升豆の煎り時間を5分、10分、20分、30分、40分として、それぞれのL-ドーパ含有量を5.3%、3.9%、3.4%、1.1%、1.3%としていますが、生豆に含まれる4.4%が加熱により5.3%になる事は考えられません。しかし、この実験では、5分煎った8gのきな粉が500㎎のL-ドーパを含むことを前提に、ベンセラジトとの合剤1錠100/25mgとの比較になっています。一方、2024年論文も、170℃で5分焙煎したムクナ豆11gで、442㎎のL-ドーパを含むとして、とカルビドパとの合剤1錠100/10mgとの比較をしています。
ムクナ豆は「食品」ですから、まずは、安全でなければなりません。お茶の水女子大の実験を参考に、私は150℃20分焙煎を実行しています。(余熱時間は別途)この場合のL-ドーパ含有量は3.4%です。火が通ているかは、試食をして決めます。気温や湿度などの環境の変化は、焼き上がり時間に微妙な違いが出る為、自身の味覚で決めるのです。火のとおりが悪ければ、青葉アルコールなどの豆特有の青臭さが残りますし、トリプシンインヒビターに代表される身体に有害な物質の失活が十分でない可能性が大きくなります。
安全なきな粉とした上で、8gや11gを100㎎の製剤と比較する根拠がどこにあるのかが疑問です。「血中動態」から導き出されると思いますが、私が販売するきな粉を5g(34㎎x5g=170㎎)食べた時と、レボドパ1錠(100㎎)を摂取した時の動作の変化では、はるかにムクナの方が動きやすいと言われる方が多数おられます。
ある病院では、パーキンソン病患者さんで、1年間に数例のムクナきな粉摂取者がいるそうです。しかし、そのほとんどがL-ドーパを含んでいないので、私のきな粉の含有量に驚くとともに、入院中もムクナきな粉の摂取を認めてくれています。
この話を聞いた時に、少し、誇らしい気持ちと、ムクナ豆を扱う事業者・個人は、この豆を必要としている方達に、安全でL-ドーパ含有量を確保した製品をお届けできるよう、常に努力を怠らない意識が必要と、改めて感じました。
この豆の持つ可能性は、医療現場だけでなく、介護現場などで今すぐにでも試していただくとともに、薬学や東洋医学・鍼灸の場でも検討されることを願うものです。そして、皆さんのこの豆に対する認知度が上がり、栽培農家が増え、食糧危機に対応できれば、こんなに素晴らしい事はありません。
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