
日々の出来事を不定期で掲載しています。
2022年10月17日
ムクナ豆の栽培管理(4)
10月20日から2日間連続で、朝の最低気温が3℃との予報が出ました。いよいよ「霜」の注意が必要な季節になってきました。
さて、この気温で「収穫開始」とするかですが、結論は「しない」です。それは、当該2日間の最高気温が20℃程度ある事。この日以外の前後の最低気温が8℃と高めの為です。
「初霜」の可能性はありますが、もし霜が降りても氷点下とはならず、莢を覆う葉が霜よけになります。この場合、葉は翌日には茶色く変色しますが、莢はほぼ守られます。
なので、未だしばらくは「収穫開始時期」前の作業を継続します。先ほど、圃場で莢の熟度を示す写真を撮りましたので、以下にお示しします。
左から熟度が高い順。4と5は同程度なので下の写真から5を除きました
どれも完熟前ですが、右端以外は収穫対象「莢」。右端は塩茹で候補です。
莢の大きさはどれも15cm程度ありますが、中身はこれだけ違いますので、「完熟候補豆」か「塩茹で候補豆」かは、莢の色と豆のふくらみで判断します。
初めは分かりませんので、「各房」から1つ莢を取ってみて、開けて確認してみます。どの大きさなら「種」になるかは、経験によります。私は1.5Cm以上と決めています。
今日も1棚のみの「管理作業」(約1時間半)でしたが、沢山の未熟豆を収穫しましたので、塩茹でで頂きます。
2022年10月11日
ムクナ豆の栽培管理(3)
10月も中旬に入り、「最終的な収穫作業」を行えるよう、準備を始めています。「最終的な収穫作業」を始める際、棚に残っている房(莢)は全て収穫対象物にしておく状態がベストです。収穫した物すべてが、「商品」の「種(豆)」となれば、その後に続く作業(追熟乾燥・豆の取り出し・選別)に無駄が無くなるためです。
それでは、いつが「最終的な収穫作業」の時期か。私は、初霜があった後の週間天気予報で、朝の最低気温が3℃前後が続く場合は、翌日が収穫開始時期としています。未だ高い日と低い日が交互にある場合は、少し(霜が降りる回数が3回まで)待ちます。
具体的な準備作業としては①完熟する豆を見極め②塩茹で豆を収穫:未熟豆と莢の中身が1粒の物③余分な葉や蔓の剪定作業になります。(1粒入りの莢は、取り出す作業手間の割に「1粒」と効率が悪い事と、他の莢の成長を促す意味があると考えています)
ハウスの中を干場として使えるよう準備も始めます。収穫作業が始めれば、すぐに干し作業が続きます。私はハウスにφ19mmのパイプで棚を作り、上部から麻紐をたらし、干し柿を干す要領で房ごと吊り下げます。その為、房を切り取る際は、茎の部分をT型にしています。こうすると、干す場合も外す場合も容易です。
熟度の違いが分かります
もう少しで収穫対象豆になります
2022年10月04日
ムクナ豆の栽培管理(2)
1週間では管理作業にさほどの違いはありません。ただ、朝の気温が12℃程度と下がる日もあって、ムクナは「早く種になろう」としている様です。
私の場合は、圃場に出れない日もあり、9月15日以降咲く花の切り取りも全てにわたっては出来ていませんので、既に莢になっている物を取り除く作業になっています。
那須では、あとひと月~ひと月半で収穫期となるため、それを見越して、現在5cm未満の莢は切り取り対象です。
葉も大分黄色くなるものが増えてきました。蔓も茶色く変色し、枯れた物があります。これらは全て取り除きます。
葉の混みあっている箇所も間引いて、光が入るようにします。
さて、肝心な「莢」ですが、淡い緑-濃い緑‐くすんだ緑(種の位置が目立つ)‐黄色くなり始めた物‐しわが寄って灰色になりかけている物‐灰色で振ると「カラカラ」種が動く音がする物が混在する時期です。
灰色で「カラカラ」音がするほど熟成した物は、「霜」が降りても、零度以下になっても影響を受けませんので、最終的に収穫すればOKです。
問題は、追熟すれば確実に「種」になる「莢」の見極めです。週間予報で、「霜」注意報が出たら、1週間ほどで全てを収穫するわけですが、その時までに「確実に種になる物」と「未熟な物」を選別しておく必要があります。
もし、選別できていなければ、収穫作業・干し作業・種の取り出し作業を終えた時に、廃棄する未熟豆が沢山出ますし、その間の作業は無駄になります。
2022年09月26日
ムクナ豆の栽培管理(1)
先日、群馬県でフロリダベルベット(アメリカ原産種のムクナ豆:以下「FVB」という)を生産して、私に納品していただいているKさんご夫妻が見えました。
2時間ほどお話をさせて頂きましたが、その話の中で、HPの「私の独り言」を「栽培の参考にしているので、もっと頻繁に更新してほしい」というご要望をいただきました。
私は、気が向いた時に書いていたのですが、「基本的にムクナ豆を全国に広げたい」という強い気持ちがありますので、お一人でも参考にしていただけるのであれば、と、一念発起して、中途半端な時期からではありますが、1週間に1度程度「ムクナ豆栽培」に関する「独り言」を、できれば、収穫・追熟・乾燥・豆の取り出しまで、綴ってみたいと思います。
さて、第1回目は、花と新しい蔓の剪定作業と混みあった蔓や葉の剪定、更に虫が入ったり、混みあっている莢の除去作業について記します。あくまで、那須における作業ですので、各地域によって時期が前後することはご承知ください。
那須では、通常、「9月15日までに咲いた花」を収穫対象の「種」になると考えています。その為、9月16日以降咲く花は全て切り取り、少しでも栄養が、残った物に回るようにしています。また、繁茂する蔓や葉で、光や風が通らないと、虫の発生を誘発しますので、この時期から出る蔓は、全て切り取ります。一か所に多層に重なる葉はなるべく茎の元から切り取ります。
茶色や黄色く色づいた葉も全て取り除き、少しでも光や風を通してください。莢同士や莢と蔓、莢と葉などが触れあった場所に「黒い虫の糞」のような塊があれば、既に莢の中に虫が侵入しています。被害の程度によりますが、莢が混みあっていれば、摘果します。また、房全体を見て、未熟と思われる「莢」は摘果し、残った物の成長に繋げます。この事で、莢同士が触れることも防ぎます。
莢の熟成が進んでくると、作業中に莢表面の細かい毛が飛散しますので、マスクや眼鏡で毛が付く事をなるべく防ぐようにしてください。この毛にはセリンプロテアーゼという酵素が含まれていて、かゆみ成分ですので、肌に直接触れないよう、注意して下さい。かゆみが出た場合は、熱いお湯で洗うとおさまります。
また、剪定に伴い、切り口から「汁」が出ますが、作業着に着くと黒くシミになり、洗濯しても落ちませんので、汚れても良い服装で作業して下さい。
写真は、本日の八升豆第一圃場と9月4日にドローンで撮影した第1から第4圃場。
右側から第一圃場・第二圃場・第三圃場
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2022年09月07日
やる気の基
先日、ムクナ会会長で、東京農工大学名誉教授、現姫路大学特別招聘教授の藤井義晴先生一行が我がファームを訪れました。
その目的は、「ムクナ豆の栽培管理実態の視察」でした。ご連絡を頂いた際は、その目的をお聞きすることもなく、ムクナ会で5回ほどお会いしていることもあり、気楽にお受けしました。
八升豆(藤井先生は日本原産種のムクナ豆である「八升豆」とその他のムクナ豆の呼称を区別して使われていますので、以下「八升豆」と記載します)の栽培は熊本県・和歌山県・新潟県などで、私より古くから栽培されていますので、少し意外でもあり、しかし、光栄でもありました。
また、後で分かったことですが、ご同行の平野秀樹先生は、学校法人法人本部の副本部長・姫路大学農学部設置準備室長・畜産研究所所長特任教授の方書きを持つのみならず、日本の国土が外国資本に買い占められていくことに警鐘を鳴らし続ける活動をされている代表的な方でした。
このような方とは知らず、圃場見学含め2時間半ほど、あれこれと説明をさせて頂きました。
午後5時前にお帰りになりましたが、その日の夜、藤井先生からお礼のメールとともに記念の集合写真をお送り頂きました。その際、「森さんの八升豆の栽培管理は日本で一番ではないかと思う」とのありがたいお言葉を頂き、ノルアドレナリンの放出を感じました。
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